忍者ブログ
[1] [2] [3]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

日本沈没が再び映画化され、脚光を浴びている。最近はSFの本は売れないらしく、下火となり寂しい限りだが、これが元になり盛り返してくればいいなと思う。

私の好きなSF作家の一人に眉村卓がいる。家庭の事情もあり新作は見られないが、かつてはアグレッシブに活躍しており、作品数も多い。眉村卓といえば一般にはジュブナイルものといったイメージがあるのかもしれない。だが、私の好きな作品は司政官シリーズなどである。

司政官シリーズは、1971年のSFマガジン臨時増刊号にて「炎と花びら」が最初に発表されて以来、1995年の「引き潮のとき」最終話まで断続的に続いた作品群である。
長編2作、短編6作、中編1作からなり、すべてSFマガジンが初出である。書籍としても早川出版がまず発行している。記念すべき第1冊目は「司政官」の書名で1974年にハードカバーとして、翌年文庫として発行され、初期短編群4作が収録されている。その後長編1冊(消滅の光輪)、中短編をまとめて1冊(長い暁)、さらに全5巻からなる長編(引き潮のとき)が出版されている。
残念なことに眉村作品は手に入れにくいものが多く、これも例外ではない。私は「消滅の光輪」以降の作品は単行本で所有しているが「司政官」のみ単行本を手に入れておらず、文庫で所有している。

司政官シリーズは、しばしば「中間管理職小説」と呼ばれるが、眉村卓の作品にはそのような作品が多い。司政官の世界では、人類は統一政体を持ち、宇宙に進出し多くの恒星系を支配している。初期の統治は征服者である連邦軍が行っていたが、これが連邦の政策で文官であり行政専門家である司政官による統治に置き換えられることになる。ここから司政官の物語が始まっている。司政官シリーズは司政官制度の歴史を描いた作品群である。

どの作品も私は好きなのだが、中でも「炎と花びら」や「扉のひらくとき」は非常に気に入っている。「消滅の光輪」は第7回泉鏡花賞を受賞しているが、私は「引き潮のとき」のほうが好きである。

余談だが、「引き潮のとき」連載時には、SFアドベンチャー誌で「不定期エスパー」が連載されていた。終了は「不定期エスパー」のほうが早いのだが、こちらも新書版で全8巻からなる長編である。こちらも好きな作品の一つである。
PR
進化論は生物学の科学理論として広く受け入れられているが、進化論を否定する説も出ている。これらの否定的説は自然選択説を否定するものではなく、進化という現象そのものを否定するもので、科学的には多数の誤りを含んでいることが専門家によって指摘されている。米国などで多いこの否定的説は、多くは宗教的理由のためである。

日本においても宗教的理由で進化論を否定する論者もいるが、これは少ない。では、日本では進化に対する関心が低いのだろうかといった疑問もでるであろうが、これは間違っているようである。日本では進化に対する関心が高く、そのためか進化論に関する一般書が数多く出版されており、そのために、様々な進化仮説が一般書などよって広く知られているようである。
しかしながら、一般的に知られているそれらの仮説が、進化の専門家の間でどのような評価を受けているかが知られていないことがある。
むろん専門家に受け入れられていない仮説が間違っているとは必ずしも言えない。しかし、現代科学において多くの専門家の批判に耐えられない仮説がよりよい仮説である可能性は低いと言えるだろう。

引用した河田先生のサイト中に「日本の一般書で取り上げられている進化に関する理論と仮説」という題の表がある*1。この表にはブルーバックスなどで一般的にはよく知られている仮説が、専門家の間ではどのような評価を受けているか示されている。
今西進化論、ウイルス進化論や重力進化説などは「進化学のこれまでの研究などを無視したかんちがい理論」と厳しい評価を受けているようである。また、日本版構造主義進化論も「具体的な実証例はまったくなく、実証自体が困難である。」と否定的である。

この一般的評価と専門家による評価との差異はなぜ生じているのだろうか?この理由の1つとして、20世紀後半からの生物学全般にわたる急速な進歩が上げられる。それまでの形態学や行動学を背景としていた進化論は、特に分子生物学と集団遺伝学の進歩の影響を大きく受けて変貌した。これらの新しい生物学は専門的であり、真に理解するためにはこれらの基礎となる遺伝学、統計学や化学、さらに細胞生物学や生化学などの関連分野を学ばなければならない。むろん形態学や行動学も専門的内容であるが、上記に比べれば直感的に理解しやすい面がある。

現在、進化の本体が集団内の遺伝子の経時的変化であることがわかっている。また「進化」は理論ではなく観察されうる現象となったと考えてもよいだろう。

1:http://meme.biology.tohoku.ac.jp/ECOLEVOL/ANIMECO/kawata/imidas2.html


忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
(05/19)
(04/21)
(11/10)
(07/10)
(11/24)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
あき
性別:
非公開
職業:
いきものの研究
自己紹介:
はじめまして。
テーマは決めていませんが、生物に関係する話などを書き込んでいきたいと思っています。
ふだんの研究とは関係のない論文を読んだ感想なども書き込むつもりです。

もし引用されることがあれば、そのときにはご一報下さい。無断引用はご容赦願います。
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析