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眉村卓は多数のジュブナイル作品を書いている。最も初期の作品である「なぞの転校生」は、学研の中二コースに連載され、「侵された都市」とともに1967年に盛光社より「なぞの転校生」としてB6版で出版された。他のジュブナイル作品と同様に、1975年に秋元書房から文庫版が出版され、さらにこれも他の眉村作品と同様に角川文庫に収められている。次の書籍は1968年に秋元書房より出版された「天才はつくられる」であるが、これが秋元文庫に収録されたのは1974年で「なぞの転校生」よりも早い。同時期に出版された「二十四時間の侵入者」は最初から秋元文庫から出されており、「天才はつくられる」と同時出版かあるいは少し遅れて出版されている。その後、よく知られているように秋元文庫からは光瀬龍や福島正実、草川隆など多数作家によるジュブナイル小説が出されている。なお、私の知る限りこれら作品の挿し絵は依光隆が担当している。

よく知られているとおり、「なぞの転校生」はNHK少年ドラマシリーズとして放映されている。NHK少年ドラマシリーズは、おそらく筒井康隆原作「時をかける少女」のドラマ化作品「タイムトラベラー」が最も著名な作品だと思うが、眉村作品も著名なものが多く、全部で4作がドラマ化されている。ただしこの中の「未来からの挑戦」は後に角川映画で有名になる「ねらわれた学園」と「地獄の才能」の2作を原作としている。
NHK少年ドラマシリーズは録画テープが貴重であった時代であるために放映後重ね取りをしてしまったなどの様々な理由で作品が失われている例が多いが、なかには視聴者が家庭用のビデオに録画してあったなどのため、現存しているものもある。それらのいくつかの復刻作品がDVD版で販売されていることはすでによく知られていることだろう。

眉村卓のジュブナイル作品は学校を舞台とした侵略ものが多く、いくつかの作品では、設定が同じであるとか、作品間の見分けがつかないといった批判もあるようである。しかし、一般誌ではなく、ましてやSF専門誌でもない、中二コースや中三時代のような特殊な雑誌にもともと連載していたことを考慮すれば致し方ないことかもしれない。
これらのジュブナイル作品の中で私の好きな作品は「まぼろしのペンフレンド」である。この作品も少年ドラマシリーズ化されているが、「ねらわれた学園」などの作品とはかなり趣が異なっており、何ともいえない読後感を与えてくれる。久しぶりに読み直したのだがやはり優れた作品である。なお、ドラマでは池上季実子が出演しており、これは彼女のデビュー作である。テーマ曲は広瀬量平の作曲である。
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日本沈没が再び映画化され、脚光を浴びている。最近はSFの本は売れないらしく、下火となり寂しい限りだが、これが元になり盛り返してくればいいなと思う。

私の好きなSF作家の一人に眉村卓がいる。家庭の事情もあり新作は見られないが、かつてはアグレッシブに活躍しており、作品数も多い。眉村卓といえば一般にはジュブナイルものといったイメージがあるのかもしれない。だが、私の好きな作品は司政官シリーズなどである。

司政官シリーズは、1971年のSFマガジン臨時増刊号にて「炎と花びら」が最初に発表されて以来、1995年の「引き潮のとき」最終話まで断続的に続いた作品群である。
長編2作、短編6作、中編1作からなり、すべてSFマガジンが初出である。書籍としても早川出版がまず発行している。記念すべき第1冊目は「司政官」の書名で1974年にハードカバーとして、翌年文庫として発行され、初期短編群4作が収録されている。その後長編1冊(消滅の光輪)、中短編をまとめて1冊(長い暁)、さらに全5巻からなる長編(引き潮のとき)が出版されている。
残念なことに眉村作品は手に入れにくいものが多く、これも例外ではない。私は「消滅の光輪」以降の作品は単行本で所有しているが「司政官」のみ単行本を手に入れておらず、文庫で所有している。

司政官シリーズは、しばしば「中間管理職小説」と呼ばれるが、眉村卓の作品にはそのような作品が多い。司政官の世界では、人類は統一政体を持ち、宇宙に進出し多くの恒星系を支配している。初期の統治は征服者である連邦軍が行っていたが、これが連邦の政策で文官であり行政専門家である司政官による統治に置き換えられることになる。ここから司政官の物語が始まっている。司政官シリーズは司政官制度の歴史を描いた作品群である。

どの作品も私は好きなのだが、中でも「炎と花びら」や「扉のひらくとき」は非常に気に入っている。「消滅の光輪」は第7回泉鏡花賞を受賞しているが、私は「引き潮のとき」のほうが好きである。

余談だが、「引き潮のとき」連載時には、SFアドベンチャー誌で「不定期エスパー」が連載されていた。終了は「不定期エスパー」のほうが早いのだが、こちらも新書版で全8巻からなる長編である。こちらも好きな作品の一つである。


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